いつも隣りにいた。
これからは少し遠くに。
でも、、また。
いつも一緒にいられるようになるといいな。
先行く君を
「ひーよーしっ」
ニコニコしながら日吉に駆け寄る。
手には鮮やかな春色の花束と、綺麗にラッピングされたプレゼント。
制服のスカートの丈はいつもより長く、しっかりとした服装。
それは、今日が卒業式だったから。
「卒業おめでとうございます。」
日吉は、にお祝いの言葉を述べた。
はありがとうと一言述べると、思い出したかのように含み笑いをした。
「日吉こそおめでとう!」
今日は卒業式だ。自分が祝われる意味がわからない。
そんな日吉に気付いたは、一言つけたした。
「祝☆部長任命っ!」
パチパチパチパチー何て言いながら拍手をする。
「凄いよね!この氷帝テニス部の頂点だよ!?」
自分のことの様に喜ぶを、日吉は優しく見つめた。
「し・か・も!来年は部員も今年より更に増えるからね。頑張って部をまとめて行けっ」
跡部何かに負けるなー!と叫ぶに、日吉はそんなのわかってますよ、と生意気な口を利く。
「うん、日吉なら安心だね。」
今までのテンションとは打って変わって、しゅんとなる。
「もう学校で、会えな、けど・・・元気、でね。」
涙が流れる。
卒業は別れだから。
今までの思い出が涙に変わって溢れる。
日吉は自分より少し小さい彼女の頭にポンっと手をのせた。
「俺、先輩と同じ高校行きます。」
は、都内でトップの高校に推薦合格した。
今の日吉では合格ラインぎりぎりの高校。
「日吉・・・本当に?」
「先輩一人じゃ危なっかしいですからね」
は涙を拭いて、すぐにむっとした顔つきになった。
「もー!素直に、彼女と離れていたくない。とか言えないの!?」とだけ言って、
すぐにふわりと微笑んだ。
「日吉っ、言ったからには1年後。ちゃんとあたしを追いかけて来てよね。」
二人で笑っていよう。そうすれば、別れも、幸せに変わるから。
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<2006.3.17 壬弥楜