がんがんトンカチで殴られてるかの様に、頭がくらくらする。
身体全体が熱くてだるい。
立っていることさえも辛くなって来て。
がくんと足に力がなくなって、倒れるのがわかる。
頭から倒れなきゃいいな、何て思ったりして。

!?」

ぼーっとしてたけど、ヒノエくんが駆け寄って来たのはわかった。
ぽすっと言う音がして。
倒れたはずなのに、不思議と痛みはなかった。




lovey




ちゃんが熱ぅ〜!?」

景時さんの声で目が覚めた。
相変わらず元気だな、なんて思わず笑みが零れる。

「日頃の疲れが溜まっていたんでしょう」
冷静な弁慶さんの声。
「それで、は大丈夫なのか?」
これは九郎さんの声。

「ええ、安心して大丈夫ですよ。寝ていれば治るでしょうから。」

壁越しに、みんなの声が聞こえる。 迷惑かけてるなって思いながら、実は心配してくれて少し嬉しい… 何て、みんなに言ったら怒られるかな。
しばらく話声を聞いていて、ふと気付いた。 ヒノエくんの声が聞こえない。どうしたんだろう?どこかに出かけているのだろうか。

「…ヒノエ、くん」

「姫君はオレをお呼びかな?」
「ヒ、ヒノエくん!?」

ふと呟いた独り言に思いがけない返事。
驚きを隠せない表情で私は身体を起こした。

「な、何でもないよ」
「ふーん、意味もなくオレの名前を呟いたのかい?」
「え、ちがっ!」

事実を的中されて、自分でも頬が赤くなるのがわかった。
そんな私をヒノエくんが見逃すはずもなく。

「図星かな、照れてる姫君も可愛いね。」

冗談なのか本気なのか、わからない口振りで甘い言葉を並べる。

「もう、そんなことばっかり言って。」

こんな会話が日常だとはいえ、ストレートすぎる口説き文句に慣れることもなく。私は更に頬を赤く染めた。

「で、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、全然元気」

私がそう言って笑ったと同時に、急にヒノエくんの顔が近付いた。

「え、ちょっ…!」

 ヒノエくんの額と私の額をくっつけて。 ヒノエくんは冷静に熱を計っているみたいだけど、そのせいで私の熱は上がってるみたい。

「まだ熱あるじゃねぇか」
「でっ、でも怨霊封印とかしなきゃいけなっ…キャ」

ヒノエくんは急に私の身体を押し倒した。
そのまま、私の額に軽く優しくキスを落として。

「一生懸命なのもいいけど、あんまり無理すんなよ。」

そう一言残すと、私の部屋を去って行った。  真っ赤になった顔を隠すように布団に潜り込む。更に熱を帯びた身体で、鼓動が早く鳴った。

「ヒノエくん」

傍にいるだけでドキドキして、ふとした仕草で私を魅了する。 名前を呼ぶことさえも、何か特別な気分。






−−− アトガキ −−−−−−−−−−−

朧夜月様へ押し付けモノ。
お相手がヒノエという事でしたので、
とりあえず口説き文句を並べてみました(ぉぃ


2006.4.3    壬弥楜